2026年6月10日
米国株の配当|なぜ日米で2回税金がかかるのか
米国株の配当金を受け取ったとき、「思ったより手取りが少ない」と感じた方は多いのではないでしょうか。
実は、米国株の配当金には日本と米国の両方で課税される構造があります。この二重課税の仕組みを理解しておくと、確定申告での外国税額控除の活用など、税負担を適切に管理するための第一歩になります。本記事では、なぜ2回課税されるのか、その根本的な構造をわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 米国株の配当金は、米国で10%・日本で20.315%と、2段階で課税される構造になっている
- 二重課税を軽減する手段として「外国税額控除」があるが、適用には確定申告が必要
- NISA口座内の配当金は日本側の課税は非課税になる一方、米国側の10%源泉徴収は控除の対象外となる点に注意が必要
米国株の配当金になぜ2回税金がかかるのか
米国株の配当金に対して二重課税が発生する理由は、日本の税法の基本原則にあります。
日本の所得税法では、日本に住む居住者は国内外で得たすべての所得(全世界所得)に対して課税されます(国税庁 No.2878)。つまり、米国で稼いだ配当金であっても、日本国内の所得と同様に課税対象となります。
一方、米国も自国内で発生した配当所得に対して源泉徴収を行います。その結果、同じ配当金に対して米国と日本の両方から税金が課される構造が生まれます。これが二重課税の根本的な原因です。
図:米国株の配当金は、米国の源泉徴収税が差し引かれたあと、日本でも所得税・住民税の課税対象になります。日本初、すべての手数料がゼロ
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米国側の源泉徴収|日米租税条約で税率が軽減される
米国の国内法では、外国人投資家への配当に対する源泉徴収税率は原則30%です。しかし、日本と米国の間には「日米租税条約(新条約)」が平成17年(2005年)に発効しており、現在も適用されています。
この租税条約により、個人投資家(ポートフォリオ投資家)が受け取る配当に対する米国側の源泉徴収税率は、30%から10%に軽減されます(国税庁パンフレット No.2643)。
なお、租税条約の適用を受けるためには、所定の「租税条約に関する届出書」を所得の支払を受ける日の前日までに、支払者を経由して所轄税務署長に提出する必要があります(国税庁 No.2888)。日本国内の証券会社(Woodstockのように所属金融商品取引業者を通じて米国株を取り扱う仲介業者を含む)を通じて取引している場合は、証券会社がこの手続きを代行していることが一般的です。
日本側の課税|申告分離課税20.315%の仕組みを解説
米国で10%が源泉徴収された後、残りの金額(受取額の90%相当)は日本国内での配当所得として課税対象になります。
上場株式等の配当所得については、申告分離課税を選択した場合の税率は20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)です(国税庁 No.1331)。
ただし、米国株式など外国法人から受け取る配当等は、配当控除の対象外となります(国税庁 No.1250)。日本株の配当と異なる点として覚えておきましょう。
実際の手取り額を計算してみる
配当金100円を受け取った場合を例に、実際の課税の流れを確認しましょう。
ステップ | 内容 | 金額 |
配当金(税引前) | 米国企業が支払う配当 | 100円 |
米国での源泉徴収(10%) | 日米租税条約適用後 | ▲10円 |
米国税引後の受取額 | 日本に届く金額 | 90円 |
日本での課税(20.315%) | 90円 × 20.315% | ▲約18.3円 |
最終的な手取り額 | 約71.7円 |
配当金100円に対して、最終的な手取りは約71.7円となります(国税庁 No.1330)。税金として合計約28.3円が差し引かれる計算です。
二重課税を軽減する「外国税額控除」とは
国際的な二重課税は「課税の原則からすれば一般的には回避しなければならない事柄」とされており(国税庁 源泉徴収のあらまし2024年版)、日本の所得税法では「外国税額控除」制度が設けられています。
外国税額控除とは、居住者が外国で納付した所得税相当額を、一定の控除限度額の範囲内で日本の所得税額から差し引ける制度です(国税庁 No.1240)。
控除限度額の計算式は以下のとおりです。
控除限度額 = その年分の所得税額 × (調整国外所得金額 ÷ 所得総額)
米国で源泉徴収された10%分の税金を、この計算式の範囲内で日本の所得税から控除できます。控除限度超過額や控除余裕額は、翌年以降3年間繰り越して使用することも可能です(国税庁 令和6年分確定申告手引き)。
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外国税額控除を受けるために必要な確定申告の手続き
外国税額控除の適用を受けるためには、確定申告が必要です。
確定申告の際には、申告書に「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」と、外国所得税を課されたことを証する書類等を添付しなければなりません(国税庁 No.1200)。
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、日本側の課税は自動的に処理されますが、外国税額控除を受けるためには別途、確定申告を行う必要があります。手間はかかりますが、二重課税の負担を軽減できる重要な手続きです。なお、Woodstockでは特定口座(源泉徴収あり・なしの選択可)を提供しており、日本側の20.315%の源泉徴収はこの口座区分を通じて処理されます。
NISA口座の配当金と二重課税の注意点
NISA口座内の上場株式等の配当等は、日本側の課税が非課税になります。米国株の配当金も、NISA口座で受け取れば日本での20.315%の課税は発生しません。
しかし、注意すべき点があります。NISA口座内の配当金に課される外国所得税額(米国側の10%源泉徴収)は、外国税額控除の対象となりません(国税庁 No.1240、租税特別措置法第9条の8に基づく)。
つまり、NISA口座で米国株の配当を受け取る場合、日本側の税金はゼロになる一方、米国側の10%は控除で取り戻すこともできない、という構造になっています。NISA口座での米国株投資を検討する際は、この点を踏まえて判断することが大切です。
なお、Woodstockは現在NISA非対応で、特定口座(源泉徴収あり・なし選択可)での提供となっています。NISA枠は他社で活用し、米国株の24時間取引(システムメンテナンス時を除く)はWoodstockで、という併用も選択肢の一つです。
米国株の譲渡益・損益通算との関係
配当所得に加えて、米国株の売却による譲渡益にも課税されます。上場株式等の譲渡益は、申告分離課税として20.315%が課されます。
また、上場株式等の譲渡損失と配当所得は損益通算できる場合があります。たとえば、年間を通じて株式の売却で損失が出た場合、配当所得と損益通算することで課税対象額を減らせる可能性があります。
ただし、損益通算や繰越控除の適用には確定申告が必要です。特定口座(源泉徴収あり)を利用していても、これらの手続きは自動では行われません。税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。
まとめ
米国株の配当金に二重課税が発生する理由は、日本の全世界所得課税の原則と、米国側の源泉徴収制度が重なる構造にあります。
日米租税条約により米国側の源泉徴収は10%に軽減されていますが、日本側でもさらに20.315%が課税されるため、配当金100円に対して手取りは約71.7円となります。外国税額控除を活用することで二重課税の負担を軽減できますが、適用には確定申告が必要です。NISA口座の取り扱いも含め、仕組みを正しく理解した上で米国株投資に取り組みましょう。配当銘柄を取り扱うサービスとしては、Woodstockでも通常取引時間において約1,000銘柄の米国株・ETF(毎月・四半期ごとの配当銘柄を多数含む)を取り扱っており、取扱銘柄から確認できます。
よくある質問
Q1. 米国株の配当金には必ず2回税金がかかりますか?
日本居住者が米国株の配当金を受け取る場合、原則として米国と日本の両方で課税されます。ただし、外国税額控除を利用することで、一定の範囲内で二重課税を軽減することが可能です。
Q2. 特定口座(源泉徴収あり)を使えば確定申告は不要ですか?
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、日本側の課税は自動的に処理されるため、基本的に確定申告は不要です。ただし、外国税額控除や損益通算の適用を受けたい場合は、確定申告が必要になります。
Q3. NISA口座で米国株の配当を受け取れば完全に非課税になりますか?
NISA口座内では日本側の20.315%の課税は非課税になります。しかし、米国側の10%の源泉徴収は発生し、かつ外国税額控除の対象とならないため、完全な非課税にはなりません。
Q4. 外国税額控除はどこで申請できますか?
確定申告の際に、申告書へ「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」と証明書類を添付することで申請できます。詳細は国税庁のWebサイト(https://www.nta.go.jp)または税理士にご確認ください。
Q5. 米国株の配当金と日本株の配当金で税金の扱いは違いますか?
はい、異なります。日本株の配当金は配当控除の対象となりますが、米国株など外国法人からの配当金は配当控除の対象外です。また、米国株には米国側の源泉徴収が加わる点も日本株とは異なります。
米国株の配当を受け取る環境としては、Woodstockなら取引・為替・残高・出金の各手数料が無料で、配当銘柄を含む約1,000銘柄を24時間取引(システムメンテナンス時を除く)でき、特定口座を通じて日本側の源泉徴収も処理されます。アプリでの口座開設は最短1分・最低200円から取引可能です。
【免責事項】
・米国株式等の金融商品の取引に際しては、契約締結前交付書面等をよくお読みください。
・米国株式等の売買等にあたっては、株式相場や金利水準、為替水準等の変動や株式等の発行者等の業務や財産の状況等の変化による価格等の変動によって損失が生じるおそれがあります。
・米国株式の売買にあたっては、手数料はいただきません。
・投資にあたっての最終決定はお客様ご自身の判断でお願いいたします。
・本サービスの利用にはAlpacaJapan株式会社の口座開設が必要です。
・本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
税務に関するご判断は税理士等の専門家にご相談ください。最新の税制度については国税庁(https://www.nta.go.jp)をご確認ください。
Woodstock株式会社(金融商品仲介業者 登録番号:関東財務局長(金仲)第965号)
所属金融商品取引業者:AlpacaJapan株式会社(金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第3024号)
加入する協会:日本証券業協会/一般社団法人資産運用業協会