2026年6月13日
米国株の為替差損益は税金になるのか|保有中・売却時・配当金の課税ルールを解説
米国株への投資では、株価の変動だけでなく、ドルと日本円の為替レートの変動も損益に影響します。
「保有しているだけで為替差益に税金がかかるのか」「売却したときの為替差損益はどう計算するのか」という疑問を持つ投資家の方は少なくありません。
この記事では、米国株の為替差損益にかかる税金のしくみを、国税庁の公式資料をもとにわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 米国株を保有しているだけでは、為替変動による含み益・含み損は課税対象にならない
- 米国株を売却したときの為替差損益は、株式の譲渡損益に含めて申告分離課税で計算する
- 特定口座(源泉徴収あり)を使うと、為替差損益を含む譲渡損益の計算・納税が自動化される
米国株の為替差損益とは何か
米国株はドル建てで取引されます。
日本円でドルを購入し、そのドルで米国株を買うため、株価の変動とは別に、円とドルの為替レートの変動が損益に影響します。
たとえば、1ドル=140円のときに購入した株を、1ドル=150円になったときに売却すると、株価が変わらなくても円換算の受取金額は増えます。この差額が為替差益です。
逆に、円高になれば為替差損が発生します。
米国株投資において、この為替差損益がどのタイミングで、どのように課税されるのかを正確に理解することは、確定申告の準備においても重要です。
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保有中の為替変動は課税対象外
米国株を保有しているだけの状態では、為替変動による含み益・含み損は課税対象となりません。
所得税法上、課税が生じるのは「収入すべき金額」が実現した時点に限られます。これを実現主義といいます。
ドル建てで株式を保有しているだけの状態は、所得税法第57条の3が定める「外貨建取引」には該当しません。為替差損益は、売却・円転・他の外貨建資産への転換などの取引が行われて初めて実現します。
(出典:国税庁 質疑応答事例「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合の為替差損益の取扱い」令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)
保有中は課税なしという点は、長期保有を前提とした米国株投資を考える上で重要な論点です。
図:米国株の為替差損益は、株式の売却時に譲渡損益へ含めて計算され、申告分離課税の対象になります。米国株を売却したときの為替差損益の課税ルール
為替差損益は譲渡損益に含まれる
米国株を売却した場合、取得時から売却時までの為替変動による為替差損益は、株式の譲渡損益に含めて計算します。
為替差損益を雑所得として別途区分して確定申告する必要はありません。
(出典:国税庁 質疑応答事例「外貨建取引による株式の譲渡による所得」令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)
申告分離課税20.315%が適用される
外国株式の売却益(為替差損益を含む)は、国内株式と同様に申告分離課税の対象となります。
税率は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1463「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」令和6年4月1日現在法令等)
円換算に使うレート
円換算には以下のレートを使用します。
項目 | 使用するレート |
売却収入(受取金額) | 約定日の対顧客直物電信買相場(TTB) |
取得価額(購入時のコスト) | 約定日の対顧客直物電信売相場(TTS) |
(出典:租税特別措置法通達37の10・37の11共-6)
売却収入と取得価額をそれぞれ異なるレートで円換算するため、その差額には必然的に為替差損益が含まれます。国税不服審判所の公表裁決事例でも、このような円換算によって算出した譲渡所得の金額には為替差益が含まれ、資産の譲渡によって所得として実現したと解されることが示されています。
(出典:国税不服審判所 公表裁決事例「外貨建取引により取得及び譲渡した財産に係る譲渡所得の金額の計算上…」所得税法第33条、第38条、第57条の3)
計算する必要がある?特定口座(源泉徴収あり)の活用
特定口座なら自動で計算・納税
米国株取引における為替差損益を含む譲渡損益の計算は、投資家が自分で行うと複雑です。
特定口座(源泉徴収あり)を利用すると、証券会社が取引ごとの円換算・損益計算・源泉徴収・納税を自動で行います。
原則として、確定申告が不要になるため、手続きの負担を大きく減らすことができます。
たとえばWoodstockでは特定口座(源泉徴収あり・なしの選択可)が提供されており、源泉徴収ありを選んでいれば、米国株の為替差損益を含む譲渡損益の円換算・損益計算・納税を所属金融商品取引業者であるAlpacaJapan株式会社側で自動処理する運用となります。
特定口座と一般口座の違い
口座の種類 | 損益計算 | 源泉徴収・納税 | 確定申告 |
特定口座(源泉徴収あり) | 証券会社が実施 | 自動 | 原則不要 |
特定口座(源泉徴収なし) | 証券会社が実施 | 自分で納税 | 必要 |
一般口座 | 自分で計算 | 自分で納税 | 必要 |
米国株投資をはじめる場合は、特定口座(源泉徴収あり)を選択することで、為替差損益を含む複雑な計算を証券会社に任せることができます。
ドルを使って米国株を購入したときに注意が必要なケース
売却後に受け取ったドルをそのまま口座に残し、そのドルを使って別の米国株を購入した場合はどうなるでしょうか。
この場合、ドルの取得時レートと購入時レートの差額が為替差損益として実現し、雑所得として課税対象となります。
これは「新たな経済的価値を持った資産が外部から流入したことにより、評価差額にすぎなかった為替差損益が収入すべき金額として実現した」と解されるためです。
(出典:国税庁 質疑応答事例「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して外貨建MMFに投資した場合の為替差損益の取扱い」令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づく)
この点は、特定口座(源泉徴収あり)を利用していても、口座内のドルの扱いによっては別途確定申告が必要になるケースがあるため、注意が必要です。なお、Woodstockではドル建ての入出金には対応しておらず、入出金はすべて日本円ベースで行うしくみとなっているため、こうした「ドルを口座に残して再投資する」運用は基本的に発生しません(入出金の取り扱いを参照)。税務上の取り扱いについては、税理士等の専門家にご相談ください。
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配当金の課税と外国税額控除
二重課税のしくみ
米国株の配当金は、日米租税条約により米国で10%が源泉徴収された後、日本でも20.315%が課税される二重課税構造となります。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240「居住者に係る外国税額控除」令和6年4月1日現在法令等)
外国税額控除で二重課税を調整できる
この二重課税を調整するため、確定申告で外国税額控除を申請することができます。
控除限度額は「その年分の所得税額×(調整国外所得金額÷所得総額)」で計算されます。全額が控除されるとは限らない点に注意が必要です。
配当金の課税方式の選択
上場株式等の配当等については、以下の3つの課税方式から選択できます。
課税方式 | 概要 | 特徴 |
申告不要 | 源泉徴収のみで課税関係終了 | 手続き不要 |
総合課税 | 累進税率で合算 | 所得が低い場合に有利なことも |
申告分離課税 | 20.315%の税率 | 譲渡損失との損益通算が可能 |
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1331「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」令和6年4月1日現在法令等)
申告分離課税を選択した場合、上場株式等に係る譲渡損失との損益通算が可能となります。
NISA口座で保有する米国株の為替差損益
NISA口座で保有する米国株・米国ETFの売却益・配当金は、日本の所得税が非課税となります。
為替差損益を含む譲渡益も非課税の対象です。
ただし、米国で源泉徴収される10%(日米租税条約による軽減税率)は非課税となりません。また、NISA口座内の外国所得税は外国税額控除の対象外です。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240「居住者に係る外国税額控除」令和6年4月1日現在法令等)
NISA口座は日本の税金に関しては有利ですが、米国側の源泉徴収は避けられない点を理解しておくことが重要です。なお、Woodstockは現在NISA非対応で、特定口座(源泉徴収あり・なし選択可)を提供しています。NISA枠は他社で活用し、米国株の24時間取引はWoodstockで、という併用も選択肢の一つです。
国外転出時課税制度にも注意
通常、保有中の含み益は課税対象外ですが、国外転出時課税制度は例外です。
国外転出時点で1億円以上の有価証券等(株式・投資信託など)を所有している一定の居住者は、国外転出の時に対象資産の譲渡があったものとみなして、含み益に対して所得税が課税されます。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1478「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」令和6年4月1日現在法令等)
海外移住を検討している方は、事前に税理士等の専門家にご相談ください。
まとめ
米国株の為替差損益にかかる税金のポイントをまとめます。
保有しているだけの状態では、為替変動による含み益・含み損は課税対象となりません。売却した場合は、為替差損益を含む譲渡損益として申告分離課税(20.315%)の対象となります。特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば、複雑な円換算や損益計算を証券会社に任せることができ、原則として確定申告も不要です。
NISA口座では日本の税金が非課税になる一方、米国側の源泉徴収は残ります。また、売却後のドルを使って新たに株式を購入するケースなど、雑所得として別途課税が生じる場面もあるため、取引の流れに応じて適切な対応が必要です。税務上の個別判断については、税理士等の専門家にご相談ください。最新の税制度については国税庁(https://www.nta.go.jp)をご確認ください。
よくある質問
Q1. 米国株を保有しているだけで為替差益に税金がかかりますか?
かかりません。所得税法上、課税が生じるのは売却や円転などの取引が行われた時点に限られます。保有中の含み益・含み損は課税対象外です。
Q2. 米国株を売却したとき、為替差損益を雑所得として別途申告する必要がありますか?
原則として不要です。為替差損益は株式の譲渡損益に含めて計算します。ただし、売却後のドルを使って別の米国株を購入した場合など、雑所得として課税が生じるケースもあります。
Q3. 特定口座(源泉徴収あり)を使えば確定申告は不要ですか?
原則として不要です。証券会社が損益計算・源泉徴収・納税を自動で行います。ただし、外国税額控除を申請したい場合や、複数口座間で損益通算したい場合は確定申告が必要です。
Q4. NISA口座で保有する米国株の為替差損益はどうなりますか?
NISA口座内の売却益(為替差損益を含む)は日本の所得税が非課税です。ただし、米国で源泉徴収される10%は非課税とならず、外国税額控除の対象外となります。
Q5. 米国株の配当金にかかる税金を減らす方法はありますか?
確定申告で外国税額控除を申請することで、米国で源泉徴収された税額の一部を日本の所得税から控除できる場合があります。また、申告分離課税を選択すると、譲渡損失との損益通算が可能です。税務上の判断は税理士等の専門家にご相談ください。
米国株の為替差損益や特定口座の運用を実務でどう動かすかが気になった方は、Woodstockで特定口座(源泉徴収あり)を選んで口座開設し、取引・為替・残高・出金がすべて手数料無料の環境で、最短1分の申込・200円から米国株の24時間取引を始めるという選択肢があります。
【免責事項】
・米国株式等の金融商品の取引に際しては、契約締結前交付書面等をよくお読みください。
・米国株式等の売買等にあたっては、株式相場や金利水準、為替水準等の変動や株式等の発行者等の業務や財産の状況等の変化による価格等の変動によって損失が生じるおそれがあります。
・米国株式の売買にあたっては、手数料はいただきません。
・投資にあたっての最終決定はお客様ご自身の判断でお願いいたします。
・本サービスの利用にはAlpacaJapan株式会社の口座開設が必要です。
・本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
・税務に関するご判断は税理士等の専門家にご相談ください。最新の税制度については国税庁(https://www.nta.go.jp)をご確認ください。
Woodstock株式会社(金融商品仲介業者 登録番号:関東財務局長(金仲)第965号)
所属金融商品取引業者:AlpacaJapan株式会社(金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第3024号)
加入する協会:日本証券業協会/一般社団法人資産運用業協会