2026年6月16日
米国株の外国税額控除|還付の取り回しを理解する
米国株の配当金を受け取ったとき、税金が二重に引かれていることに気づいていますか。
米国で源泉徴収され、さらに日本でも課税される。この二重課税を調整するために用意されているのが、外国税額控除という制度です。確定申告を行うことで、米国側で納付した税金の一部を日本の所得税額から差し引ける可能性があります。
この記事のポイント
- 外国税額控除は、米国株の配当金に生じる二重課税を調整するための税額控除制度
- 特定口座(源泉徴収あり)でも証券会社が自動処理するわけではなく、自ら確定申告が必要
- NISA口座の配当金には外国税額控除は適用できない
外国税額控除とは何か|二重課税を調整する制度の位置づけ
外国税額控除は、国税庁が「国際的な二重課税を調整するために、一定額を所得税額から差し引くことができる」制度と明示している税額控除です。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1200「税額控除」)
日本に住む居住者は、国内外を問わず全世界の所得が日本の所得税の課税対象となります。そのため、外国でも課税された所得については、同じ利益に対して二重に税金が発生する状況が生じます。
外国税額控除は、この二重課税を制度的に解消するための仕組みです。課税所得に税率を掛けて算出した所得税額から、一定の金額を直接差し引く「税額控除」に分類されます。所得金額から差し引く「所得控除」とは異なり、計算された税額そのものを減らせる点が特徴です。
図:外国税額控除は、海外で課税された税額を日本の税額から差し引き、同じ所得への二重課税を調整する制度です。日本初、すべての手数料がゼロ
取引手数料、為替手数料、残高手数料、出金手数料がすべて、回数・金額の制限なしに無料
米国株の配当金に二重課税が生じる仕組み
米国株の配当金を受け取る場合、税金は2段階で引かれます。
第1段階:米国側の源泉徴収
日米租税条約により、日本居住者が米国法人からポートフォリオ投資として受け取る配当(議決権付株式の10%未満保有)に対する米国側の源泉徴収税率の限度は10%とされています。米国国内法の原則税率は30%ですが、租税条約によって大幅に軽減されています。
(出典:国税庁 パンフレット「日米新租税条約の概要」)
第2段階:日本側の課税
米国で源泉徴収された後の配当金は、日本でも所得として課税されます。申告分離課税または総合課税のいずれかを選択して確定申告するか、特定口座(源泉徴収あり)を通じて日本側の税金が徴収されます。
この2段階の課税が「二重課税」の実態です。外国税額控除を活用することで、米国側で納付した税金の一部を日本の所得税額から取り戻せる可能性があります。
外国税額控除の計算方法|控除限度額の算式を理解する
外国税額控除には上限があります。米国側で納付した外国所得税の全額が控除されるわけではなく、「控除限度額」の範囲内で差し引くことができます。
国税庁が定める控除限度額の算式は次のとおりです。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240「居住者に係る外国税額控除」令和6年4月1日現在法令等)
所得税の控除限度額
= その年分の所得税の額
× (その年分の調整国外所得金額 ÷ その年分の所得総額)
つまり、所得全体のうち国外所得が占める割合に応じて、控除できる上限金額が決まります。国外所得の比率が低ければ控除限度額も小さくなり、米国側で納付した税金の全額を差し引けないケースもあります。
復興特別所得税への控除
外国所得税額が所得税の控除限度額を超える場合、その超過分については復興特別所得税からも控除できます。算式は次のとおりです。
復興特別所得税の控除限度額
= その年分の復興特別所得税額
× (その年分の調整国外所得金額 ÷ その年分の所得総額)
(出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「外国税額控除額の計算方法」令和6年分)
控除限度超過額の繰越
控除限度額を超えた外国所得税額(控除限度超過額)は、前年以前3年内の控除限度額の余裕額を限度として翌年以降に繰り越して控除できます。逆に、外国所得税額が控除限度額に満たない場合も、前年以前3年内の繰越外国所得税額を残余の控除限度額の範囲で控除できます。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240)
シミュレーション|外国税額控除の効果を数字で確認する
具体的な数字で外国税額控除の取り回しを確認します。以下はあくまで制度理解のための例示であり、実際の税額は個人の所得状況によって異なります。
項目 | 金額(例) |
米国株の配当金(税引前) | 100,000円相当 |
米国側の源泉徴収(10%) | 10,000円 |
日本側の課税対象(受取額) | 90,000円 |
日本側の所得税(申告分離課税・約15.315%) | 約13,784円 |
控除限度額(国外所得比率が高い場合の例) | 10,000円 |
外国税額控除適用後の日本側所得税 | 約3,784円 |
この例では、米国で納付した10,000円が日本の所得税から差し引かれ、日本側の納税額が大幅に減少しています。
ただし、控除限度額は個人の所得総額と国外所得の比率によって変わります。給与所得など国内所得が大きい場合、控除限度額が小さくなり、米国側の税金を全額控除できないケースもあります。実際の計算は税理士等の専門家にご相談ください。
確定申告が必要|特定口座でも自動処理されない理由
外国税額控除を受けるためには、自ら確定申告を行う必要があります。
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、日本側の税金は証券会社が源泉徴収するため、通常は確定申告が不要です。しかし、外国税額控除は証券会社が自動で適用するものではありません。
米国で納付した外国所得税を日本の所得税額から差し引くためには、投資家自身が確定申告を行う必要があります。例えばWoodstockでは特定口座(源泉徴収あり・なし選択可)を提供しており、日本側の譲渡益・配当の課税は口座区分に応じて処理されますが、外国税額控除の適用は別途ご自身で確定申告いただく必要があります。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240)
確定申告に必要な書類
外国税額控除の適用を受けるために確定申告書に添付が必要な書類は、国税庁により以下のとおり定められています。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240)
- 外国税額控除に関する明細書(居住者用)
- 外国所得税を課されたことを証する書類
- 外国の法令により課される税の名称・金額・納付日等を記載した書類
- 外国所得税が減額された場合の説明書類
- 課税証明書・源泉徴収票等の納付証明書類
- 国外源泉所得の金額の計算に関する明細書類
証券会社から交付される年間取引報告書や配当支払通知書が、外国所得税の証明書類として活用できます。Woodstockをご利用の場合も、所属金融商品取引業者であるAlpacaJapan株式会社から交付される年間取引報告書等を確定申告の証憑としてご活用いただけます。書類の準備には手間がかかるため、余裕をもって確定申告の準備を進めることをおすすめします。
最短1分で口座開設申請
iPhoneのマイナンバーカードを使えば、すぐに本人確認が完了します。
申告分離課税と総合課税|外国税額控除との関係
米国株の配当金の申告方法には、申告分離課税と総合課税の2種類があります。外国税額控除はどちらを選択した場合でも適用できます。
一方、「配当控除」については注意が必要です。
申告方法 | 配当控除 | 外国税額控除 |
申告分離課税 | 適用不可 | 適用可 |
総合課税 | 国内法人の配当のみ適用可 | 適用可 |
源泉徴収のみ(申告なし) | 適用不可 | 適用不可 |
米国株の配当金は国内法人からの配当ではないため、総合課税を選択した場合でも配当控除の対象外となります。外国税額控除は、総合課税・申告分離課税のいずれを選択した場合でも活用できます。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1200「税額控除」、No.1240)
どちらの申告方法が有利かは、投資家の方の所得状況によって異なります。税務に関するご判断は税理士等の専門家にご相談ください。
外国税額控除の対象にならないケース|NISA口座と注意点
外国税額控除を活用できないケースがあります。特に重要なのがNISA口座です。
NISA口座の配当金は対象外
租税特別措置法に規定するNISA口座(非課税口座内上場株式等)の配当等に対して課される外国所得税額は、外国税額控除の対象となりません。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240 対象とならない外国所得税額 第6号)
NISA口座では日本側の税金が非課税になる一方、米国側で源泉徴収された税金(10%)は戻ってきません。また、その米国側の税金を外国税額控除で取り戻すこともできない点に注意が必要です。
なお、Woodstockは現在NISA非対応で、特定口座(源泉徴収あり・なし選択可)を提供しています。NISA枠は他社で日本株・投資信託に活用しつつ、米国株の24時間取引はWoodstockで、という併用も選択肢の一つです。Woodstockの口座開設はアプリで最短1分から進められます。
そのほかの注意点
- 外国株式(米国株)のETFの分配金も、同様に外国税額控除の対象となりますが、ファンドの構造によって扱いが異なる場合があります
- 控除限度額の計算は個人の所得状況に依存するため、国外所得の比率が低い場合は控除できる金額が限られます
- 住民税については、外国税額控除の計算が所得税とは別に行われます。住民税でも一定の外国税額控除が認められていますが、計算方法が異なるため確認が必要です
まとめ
米国株の配当金には、米国側と日本側で二重に税金が課される構造があります。外国税額控除は、この二重課税を制度的に調整するための税額控除であり、確定申告を通じて米国で納付した税金の一部を日本の所得税額から差し引くことができます。
ただし、控除には上限(控除限度額)があり、特定口座(源泉徴収あり)でも自動適用されず、NISA口座の配当金は対象外となるなど、取り回しには複数の注意点があります。制度の仕組みを理解したうえで、税理士等の専門家に相談しながら確定申告の準備を進めることをおすすめします。
税務に関するご判断は税理士等の専門家にご相談ください。最新の税制度については国税庁(https://www.nta.go.jp)をご確認ください。
よくある質問
Q1. 外国税額控除は、特定口座(源泉徴収あり)でも受けられますか?
受けられますが、証券会社が自動で処理するわけではありません。外国税額控除を適用するためには、投資家自身が確定申告を行う必要があります。(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240)
Q2. NISA口座で受け取った米国株の配当金にも外国税額控除は使えますか?
使えません。NISA口座の配当等に対して課される外国所得税額は、外国税額控除の対象外と明示されています。(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240)
Q3. 米国側で引かれる源泉徴収税率は何%ですか?
日米租税条約により、日本居住者がポートフォリオ投資として受け取る配当に対する米国側の源泉徴収税率の限度は10%とされています。(出典:国税庁 パンフレット「日米新租税条約の概要」)
Q4. 控除しきれなかった外国所得税額はどうなりますか?
控除限度額を超えた外国所得税額(控除限度超過額)は、前年以前3年内の控除限度額の余裕額を限度として翌年以降に繰り越して控除できます。(出典:国税庁 タックスアンサー No.1240)
Q5. 外国税額控除の申告に必要な書類はどこで入手できますか?
証券会社から交付される年間取引報告書や配当支払通知書が主な証明書類として活用できます。「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」は国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成できます。
米国株配当の二重課税という論点を踏まえつつ、米国株への入り口そのものを軽くしたい方には、Woodstockが取引手数料・為替手数料・残高手数料・出金手数料すべて無料、24時間取引、200円・0.0001株からという環境を提供しています。詳しくは手数料と取扱銘柄のページをご確認ください。
【免責事項】
・米国株式等の金融商品の取引に際しては、契約締結前交付書面等をよくお読みください。
・米国株式等の売買等にあたっては、株式相場や金利水準、為替水準等の変動や株式等の発行者等の業務や財産の状況等の変化による価格等の変動によって損失が生じるおそれがあります。
・米国株式の売買にあたっては、手数料はいただきません。
・投資にあたっての最終決定はお客様ご自身の判断でお願いいたします。
・本サービスの利用にはAlpacaJapan株式会社の口座開設が必要です。
・本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
税務に関するご判断は税理士等の専門家にご相談ください。最新の税制度については国税庁(https://www.nta.go.jp)をご確認ください。
Woodstock株式会社(金融商品仲介業者 登録番号:関東財務局長(金仲)第965号)
所属金融商品取引業者:AlpacaJapan株式会社(金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第3024号)
加入する協会:日本証券業協会/一般社団法人資産運用業協会