2026年7月2日
米国市場のサーキットブレーカー|どこで止まるか
米国市場のサーキットブレーカー|どこで止まるか
米国株に投資していると、相場が急落した日のニュースで「サーキットブレーカーが発動した」という言葉を目にすることがあります。 しかし、どのような条件で止まるのか、停止時間はどれくらいなのか、詳しく知っている方は多くありません。
この記事では、米国市場のサーキットブレーカー制度の仕組みを、7%・13%・20%という3段階の発動条件を軸にわかりやすく解説します。 制度の導入背景から過去の発動事例、日本の制度との違いまで、投資判断に役立つ情報をまとめました。
この記事のポイント
- 米国のサーキットブレーカー制度(MWCB)はS&P 500が前日終値から7%・13%・20%下落した場合に3段階で発動する
- Level 1・2は15分間の取引停止、Level 3は当日の残り取引時間すべて停止となる
- 現行ルールは2013年導入・2022年恒久化。Level 1は2020年3月に4回発動した実績がある
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サーキットブレーカー制度とは何か
サーキットブレーカー制度とは、株価や株価指数が一定の幅を超えて急落・急変した際に、取引を一時的に停止または制限する措置のことです。 電気回路の「遮断器(サーキットブレーカー)」になぞらえた名称で、金融市場における過熱や過度なパニック売りを抑止する目的で設けられています。
株式・先物・オプションなど幅広い金融商品の取引が対象となり、投資家が冷静に状況を確認する時間を確保するための安全弁として機能します。
ブラックマンデーが導入のきっかけ
米国でサーキットブレーカー制度が議論されるようになったのは、1987年のブラックマンデーがきっかけです。 1987年10月19日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)のダウ工業株30種平均が1日で約22%暴落し、世界の金融市場に連鎖的な混乱をもたらしました。
この経験から、相場の急変時に取引を中断し、市場参加者が冷静になれる仕組みの必要性が認識されました。 その後、段階的にルールが整備され、現行の3段階制は2013年5月に導入されています(出典:SEC.gov, Release No. 34-94706, 2022年4月)。
図:米国市場のサーキットブレーカー制度とは、株価や株価指数が急落・急変した際に取引を一時停止または制限する仕組みです。ブラックマンデーをきっかけに制度整備が進み、パニック売りの抑制や市場の安定化を目的として導入された背景を整理しています。米国市場のMWCB:3段階の発動条件を解説
現行の米国市場全体サーキットブレーカー(Market-Wide Circuit Breaker、MWCB)は、S&P 500指数の前日終値を基準として毎営業日計算し直されます。 NYSE・NASDAQ・CBOEなどすべての米国株式取引所が協調して停止を実施します(出典:SEC.gov, Release No. 34-94706, 2022年4月)。
発動の監視・宣言はSIP(証券情報プロセッサー)が担い、各上場取引所が個別銘柄の停止を実行する仕組みです。
3段階の発動条件と停止時間
レベル | 下落率 | 停止時間 | 発動可能な時間帯 |
Level 1 | 7% | 15分間 | 米東部時間 9:30〜15:25 |
Level 2 | 13% | 15分間 | 米東部時間 9:30〜15:25 |
Level 3 | 20% | 当日の残り取引時間すべて | 時間帯を問わず |
Level 1(7%下落)とLevel 2(13%下落)は、米国東部時間9:30から15:25の間に発動した場合のみ、15分間の取引停止となります。 15:25以降に発動した場合、Level 1・Level 2の停止は行われません。 また、各レベルは1日1回のみ発動可能です(出典:FINRA, Rule 6121.02, Release No. 34-88425, 2020年3月)。
Level 3(20%下落)は時間帯に関係なく発動し、その日の残り取引時間すべてにわたって全米国株式市場の取引が停止されます。 取引は翌営業日に通常通り再開されます(出典:Nasdaq MWCB FAQ, 最終確認2024年8月)。
サーキットブレーカーが発動すると何が止まるか
MWCBが発動した場合、停止の対象は株式だけではありません。 株式・ETF・株式オプションのすべての取引が停止されます。
Level 3発動時はさらに範囲が広がり、CBOEのVIX先物・オプションを含む関連デリバティブ商品も当日の取引が停止され、翌営業日に通常通り再開されます(出典:Cboe U.S. Market Wide Circuit Breaker FAQ, 最終確認2024〜2025年)。
先物取引やオプション取引を活用している投資家にとっても、MWCBは直接影響を受けるルールです。 米国株に連動する先物取引ポジションを持っている場合は、この点を事前に把握しておくことが重要です。
なお、Woodstockでは通常取引時間において約1,000銘柄の米国株・ETFを24時間取引できますが(システムメンテナンス時を除く)、米国の取引所がMWCBで停止している間は、その対象となる銘柄の取引も止まります。 これはWoodstock固有の事象ではなく、米国の取引所側のルールに基づく市場共通の措置です。
米国市場サーキットブレーカー(MWCB)の発動条件、停止対象、および過去の発動事例のまとめ。※本画像はAIにより作成過去の発動事例:2020年3月のCOVID-19ショック
現行ルール(7%/13%/20%の3段階)が導入された2013年以降、Level 1(7%下落)は2020年3月に計4回発動しています。 具体的には2020年3月9日・12日・16日・18日の4日間で、いずれもCOVID-19ショックによる急落が原因でした。
一方、Level 2(13%下落)およびLevel 3(20%下落)は、現行ルール下で一度も発動していません(出典:SEC.gov, Release No. 34-94705, 2022年4月)。
2020年3月のMWCB発動後、SECおよびSRO(自主規制機関)のワーキンググループは「MWCBの仕組みは意図通りに機能し、市場のボラティリティを沈静化させる効果があった」と結論付けました。 基準値(S&P 500)・発動閾値(7%/13%/20%)・停止時間(15分)の設計は適切であり変更不要とされ、2022年4月に現行ルールが恒久化されています(出典:SEC.gov, Release No. 34-94706, 2022年4月)。
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日本のサーキットブレーカー制度との違い
日本にも、相場の急変に対応するサーキットブレーカー制度は存在します。 しかし、米国の制度とはいくつかの点で異なります。
日本では、日経平均株価や日経平均株価先物などの株価指数先物取引を対象に、値幅制限(ストップ高・ストップ安)と組み合わせた仕組みが採用されています。 個別銘柄ごとに価格制限が設けられており、先物取引の急変時には一時的な売買停止(サーキットブレーカー)が発動されます。
米国のMWCBはS&P 500という単一の株価指数を基準として市場全体を一斉停止する点が特徴です。 日本の制度は個別銘柄・商品ごとの値幅制限が中心であり、市場全体を同時停止するという考え方は米国ほど明確ではありません。 また、中国市場でも独自のサーキットブレーカー制度が存在しますが、運用ルールは各国・各市場で異なります。
個別銘柄向けのLULD制度も知っておきたい
MWCBは市場全体を対象とした制度ですが、個別銘柄向けには「Limit Up-Limit Down(LULD)」という別の制度も存在します。
Tier 1銘柄(S&P 500・Russell 1000構成銘柄等で株価3ドル超)は、直近5分間の平均価格から±5%を超えると15秒間のリミット状態に入ります。 解消されなければ5分間の取引停止となります。 Tier 2銘柄の場合は±10%が基準です(出典:FINRA LULD FAQ, 最終確認2026年5月)。
MWCBが市場全体の「大きなブレーカー」だとすれば、LULDは個別銘柄ごとに設置された「小さなブレーカー」といえます。 両方の制度が組み合わさって、米国証券市場の価格変動リスクを管理しています。 Woodstockで取引できる米国株・ETFも、MWCBおよびLULDの両制度の対象となります。
2026年時点でも現行ルールは変更なし
NASDAQは2026年のMWCBテストスケジュールとして、2026年4月11日・7月25日・9月12日・12月5日の4回を予定しています。 SECの要件に基づき、指定メンバーに年1回以上の参加が義務付けられています(出典:Nasdaq Equity Regulatory Alert #2026-1, 2026年3月31日)。
定期的なテストが継続されていることは、現行ルールが2026年時点でも変更なく有効であることを示しています。 米国株に投資する際は、この制度が現在も機能していることを念頭に置いておきましょう。
まとめ
米国市場のサーキットブレーカー制度(MWCB)は、S&P 500が前日終値から7%・13%・20%下落した場合に3段階で発動する仕組みです。 Level 1・Level 2は15分間の取引停止、Level 3は当日の残り取引時間すべての停止となります。
1987年のブラックマンデーを教訓に導入が議論され、現行の3段階制は2013年に導入・2022年に恒久化されました。 2020年3月のCOVID-19ショックではLevel 1が4回発動し、制度が実際に機能することが確認されています。
米国株に投資する際は、こうした制度の存在を把握しておくことで、相場急落時にも冷静な判断ができるようになります。 Woodstockでは米国株・ETFを24時間取引できる環境を提供しており(システムメンテナンス時・米国取引所のMWCB発動時を除く)、Woodstockの顧客資産はAlpacaJapan株式会社が信託銀行で分別管理し、万が一の際は投資者保護基金により1,000万円まで補償されます。
よくある質問
Q1. サーキットブレーカーはどの指数を基準に発動しますか?
S&P 500指数の前日終値を基準として発動します。基準値は毎営業日計算し直されます。NASDAQや個別銘柄の動きではなく、S&P 500の変動率が判断の基準となります。
Q2. Level 1が発動した後、Level 2・Level 3も同じ日に発動することはありますか?
はい、あり得ます。各レベルは1日1回のみ発動可能ですが、Level 1発動後にさらに下落が続けばLevel 2が、その後さらに下落すればLevel 3が発動します。ただし現行ルール下ではLevel 2・Level 3の発動実績はありません。
Q3. 取引停止中に注文を出すことはできますか?
取引停止中の売買の可否については、利用する証券会社や取引所のルールによって異なる場合があります。詳細はご利用の証券会社にご確認ください。
Q4. ETFや先物取引もサーキットブレーカーで停止されますか?
はい。MWCBが発動した場合、株式・ETF・株式オプションのすべての取引が停止されます。Level 3発動時はVIX先物・オプションを含む関連デリバティブ商品も停止対象となります。
Q5. 日本株を保有している場合、米国のサーキットブレーカーは影響しますか?
米国のMWCBは米国の取引所に上場する証券が対象です。日本株への直接的な適用はありません。ただし、米国市場の急落は日経平均株価など日本市場にも影響を与えることがあります。
相場急落時に取引が止まる仕組みを理解した上で、平時の米国株取引はWoodstockの24時間取引環境で進めるという選択肢があります。 Woodstockでは取引・為替・残高・出金の手数料がすべて無料、米国株・ETFを0.0001株単位・最低200円から取引でき、口座開設は最短1分で申込できます。 取扱銘柄一覧や手数料の詳細は各ページをご確認ください。
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・本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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所属金融商品取引業者:AlpacaJapan株式会社(金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第3024号)
加入する協会:日本証券業協会/一般社団法人資産運用業協会